一般社団法人特殊高所技術協会:TKGSの1級講習会で実施した墜落実験

今回は、カラビナの破断実験をしました。

Case1:ゲートが開いた状態→5.2kN
Case2:横方向荷重状態→7.7kN

カラビナの強度が、ゲートオープン状態と横方向では劇的に弱くなることは、みなさん数値的には理解しているかと思います。しかし、具体的に「どれぐらいの墜落現象で、弱点状態のカラビナが破壊するのか」と、経験的・感覚的に落とし込めている人はあまりいないでしょう。

今回は、ナイロンスリング二重巻きで自己確保(セルフビレイ)をとった状態から墜落させて、カラビナを破断させています。

  1. 伸び性能のないスリングで自己確保を取ることは危険である
  2. カラビナはゲートをしっかり締めて、縦方向に使うこと

以上2点の重要性を理解いただければと思います。
何かにつながっているだけでは、安全とはいえません

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改めて、通常速度の動画をよく見ると、カラビナの破断時にほとんどダミー人形の落下速度が落ちていないのですよね。
落下係数FF=1.0でもカラビナは十分割れていたと思います。
当時は「講習会の時間も押していたので、確実に割れる落下エネルギ量をカラビナに与えたい。」という思惑がありました。
なので、一撃必殺、落下係数F=2.0でやってました。
完全KOです。
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どんな優れた機材にも、弱点があります。
アキレスの踵のように。
それを探し出して理解しておくことは、生き残る上で大切です。

再生時音が出ます。ご注意ください